第86回日本超音波医学会総会

廣川 直樹
大阪国際会議場 2013.5.24?26

 
 
 5月24日から3日間で日本超音波医学会総会がありました。24日朝に「膵癌による門脈系静脈の進展度診断-造影CTに付加できる情報を有するか-」の演題で発表させていただきました。この分野は体外式で行っている研究者が少ないのですが重要なところです。

 少し話は変わりますが、痛い記憶がよみがえりましたのでまず報告させていただきます。

2008年には同総会で「小膵癌の造影超音波による検出能」という演題で発表させていただいております。内容は“EUSより体外式USの方が検出能が良好”という趣旨ですが、この時の座長であられるEUSの大家F大学のI先生はよほど私の発表が気に入らなかったらしく、途中で「先生、時間が過ぎてます!!」と怒りあらわに怒鳴られ、(えっ?まだあるのになんで??)という私の心の内を読んだもう一人の座長が「I先生…、まだ時間あるようですが…。」とフォローしてくれましたが、無念にも話半ばで残りは流して終了させられました。私の前向きの研究の結果の一端をただただ事実としてお伝えしただけなのに、この分野は“やはりEUSありき”を改めて痛感させられたのでした。

 このエピソードからかれこれ5年、さて、当日私の発表を抄録集で確認してみると、今回の座長もなぜかI先生でした。(ゲゲッ!!)と心に焦りを感じ、発表前にはチラッチラッと横目で座長の本日のご機嫌を確かめつつ、「あーまた今日もヤバイ状況だな」と厳しいご意見をたまわる覚悟をしておりました。が、ふたを開けてみると、なんと今回は非常に柔和で好意的に対応いただいたのでした。I先生からの質問に、「EUSとの対比はしてますか?」と、(ここでEUSがきたか!)と思いつつ、「今回はしておりません。内科の先生がいい成績を出しているかもしれません。」と、ちょっとおべっかを使ってお答えしたところ、つつがなく終了した次第です。ただ、膵癌分野の精査において体外式造影超音波がなんとなく許容されてきたのかなぁと感慨にふけりました。

 超音波永利皇宫赌场,永利网上娱乐です。IVR分野では今回もGEのVirtuTRAXでした。実臨床では使用経験ありませんがファントム経験はあります。穿刺針先端にセンサーのあるeTRAXの演題は確認できませんでした。高価で導入している施設がまだ少ないのでしょうか。先日、GEの機械をお借りして、体にマーカーをつけてCT撮像し体が動いてもレファランス像とずれないIVRに役立つ最新の機器を経験させていただきました。なかなかよさそうでしたが問題もあるようなので今後の報告を待ちます。肝臓はARFによるSWI、炎症はSWI、線維化はSIという流れのようです。膵臓は新しいものなくこれもSWIの可能性を言っている先生もいました。技術面では単結晶プローブ、4D造影定量化が報告されていました。単結晶プローブは機械をお借りして使用させていただきました。これもなかなか良かったのですが、あと一息の感がありました。一般演題でおもしろかったのはCO2での内視鏡検査後には経時的にUS描出能は改善し、30分経てば問題ないという内容のものでした。

 体外式超音波を専門的に行っている研究者が膵分野ではあまりいません。ポテンシャリティがあるモダリティなのですが、技術面で結果に大きな差が出てしまいます。しかし診断に欠かせないことが認識されると、広がりを見せてくれるのではないかと期待して、がんばってさらに報告していきます。
  
  
  
  
 
 
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