麻酔科学講座
われわれの講座は,麻酔薬,疼痛,敗血症ならびに心筋保護作用について,その作用機序の解明を目的に研究を続けている.これらの研究を進めることによって,臨床麻酔,疼痛管理ならびに集中治療の安全性に寄与することとなる.これらの研究を行うために,電気生理学,生化学的,分子生物学的な手法を多く取り入れている.また,われわれは臨床研究も盛んに行っており,周術期の患者の安全性ならびに質の向上を追求している。
Dept.of Anesthesiology
Our department has been challenging to investigate the basic mechanisms of anesthetics, pain, sepsis, and cardioprotection. These studies can lead to the safety of clinical anesthesia, pain management, and intensive care. In order to achieve our goal, we employ a variety of advanced techniques such as electrophysiological, biochemical, and biomolecular techniques. We are also tracing the safety and quality of surgical patients perioperatively.
スタッフ
スタッフ
教授 Professor
山蔭道明 Michiaki Yamakage, M.D., Ph. D.
所属 医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
医学研究科地域医療人間総合医学生体防御学侵襲制御医学
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:周術期の体温管理,麻酔薬の作用機序の解明,血液凝固系
研究活動と展望:吸入麻酔薬は吸入開始1分で意識を消失するに至る.吸入して血中に溶け込み,脳に達してその効力を発揮する.その作用力価は血中溶存濃度ではなく,分圧に比例するから驚きだ.一方,吸入麻酔薬は強力な気道平滑筋弛緩作用を持ち,喘息重積発作に有用である.この作用に興味を持ち,張力と細胞内Ca2+濃度の同時測定,さらにcAMPやIP3に代表されるセカンドメッセンジャーの測定を行い,その作用機序を解明してきた.パッチクランプ法を応用し,細胞内Ca2+濃度の調節に重要な電位依存性Ca2+チャネル活性も測定し,それに対する作用も明らかにした.これらの研究は,臨床的に麻酔薬を安全に使用する上で重要な研究であると考える.
准教授 Associate Professor
枝長充隆 Mitsutaka Edanaga, M.D., Ph. D.
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:臨床研究(周術期の血液凝固?血小板機能モニタリング,気道デバイスの臨床応用,医療安全を考慮した麻酔手技の検討)
研究活動と展望:体外循環下における心臓血管外科手術においては,止血目的での輸血に関する明確な指標が未だないのが現状である.われわれは,精密血液凝固機能装置を使用し,生体の凝固および抗凝固のバランスを考えた血液製剤の適正かつ有効利用,医療費の低減に向けて迅速で信頼度の高いモニタリングガイド下輸血療法確立を目指す.
准教授 Associate Professor
新山幸俊 Yukitoshi Niiyama
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:術後痛
研究活動と展望:現在,術後痛に対しては鎮痛効果の強いオピオイドがしばしば用いられるが,オピオイドにはさまざまな副作用があり,結果として手術からの回復の妨げとなっている.局所麻酔薬やそれ以外の薬剤,鎮痛法を組み合わせることで相乗的に痛みを抑え,副作用を少なくすることで鎮痛の質を上げる必要性がある,現在,いくつかの臨床研究を進行中である.
講師 Assistant Professor
岩崎創史 Soushi Iwasaki
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:緩和医療?脊髄刺激療法?麻酔と呼吸
研究活動と展望:今後日本の人口は減少に転じ,高齢者ががんでなくなる「多死の時代」が 予想されている.治療ではエビデンスに基づき診療が行われているが,緩和医療分野ではエビデンスの蓄積が相対的に少ない.身体症状は新規オピオイド等で症状緩和は十分にコントロールできるようになったが,いまだがん患者さんの苦痛の全てが取りきれているわけではない.私は呼吸法に着目し,患者のストレスコーピングの手段として取り入れることができないか研究をすすめている.
講師 Assistant Professor
平田直之 Naoyuki Hirata
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:周術期及び集中理療領域における循環不全の病態解明と治療戦略の研究
研究活動と展望:周術期心筋虚血再灌流障害に対して,麻酔薬及び亜硝酸塩による治療効果とその機序の研究を行ってきた.これらの病態には心筋ミトコンドリア活動が深く関わっておりミトコンドリアレベル,転写因子レベルにおいてその機序を解明し,学術論文等々で報告した.現在,不全心筋に対するデクスメデトミジンの心筋保護作用に関する研究,麻酔薬プロポフォールによる急性循環不全(プロポフォール注入症候群)に関する研究を大学院生と共に行なっている.
講師 Assistant Professor
時永泰行 Yasuyuki Tokinaga
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:麻酔科学 血管薬理学
研究活動と展望:血管は組織還流を調節するために収縮,弛緩作用を持つ.その収縮と弛緩反応は麻酔薬により影響を受ける.血管を内皮機能と平滑筋機能の両面から麻酔薬の作用および作用機序を検討し,麻酔薬の特性を生かした薬剤の選択から臨床に応用することを目指す.さらに,近年,血管内皮細胞の管腔側には内皮グリコカリックスと呼ばれる糖鎖の層の存在?重要性が明らかになり,麻酔薬の内皮グリコカリックスに及ぼす影響を内皮依存性弛緩反応,組織化学的検討から行っている.今後,内皮グリコカリックスの保護を考慮した麻酔管理は,内皮機能保持の観点から新しい周術期管理をもたらす可能性がある.
助教 Instructor
早瀬知 Tomo Hayase
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:吸入麻酔薬の脳内遺伝子発現に与える影響
研究活動と展望:吸入麻酔薬の作用の強さは個人差があまりないことが知られている.しかし術後の悪心嘔吐は女性において圧倒的に多い.この機序の一つとして,われわれはエストロゲン結合部位の遺伝子多型が術後悪心嘔吐の発生頻度に影響を与えることを発見したが,近年遺伝子発現解析技術の向上に伴い,吸入麻酔薬の曝露が脳内の遺伝子発現にどのような影響を与えるか網羅的に解析できるようになった.これらの研究を通じて麻酔薬の曝露による副作用の予防し,より安全な麻酔管理を提供することができると考えている.
助教 Instructor
高田幸昌 Yukimasa Takada
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:有機リン中毒,血管薬理学
研究活動と展望:有機リン系コリンエステラーゼ(OP-ChE)阻害薬か?関与したオウムサリン事件は誰もか?知るところて?あり,また服用による自殺者, 紛争地域て?の神経剤使用等か?後を絶たない現在,その治療法確立は重要な研究課題て?ある.OP-ChE 阻害薬中毒の死因には意識障害,けいれん重積,呼吸停止,等の中枢神経系機能失調か? 深く関与している.OP-ChE 阻害薬誘発性けいれんの性状と誘発促進因子の解明と,各種麻酔薬およひ?新規抗てんかん薬の治療的効果についての検証を中枢神経系組織て?行うことか?不可欠と考え,研究を行っている.
助教 Instructor
髙橋和伸 Kazunobu Takahashi
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:筋弛緩薬
研究活動と展望:手術中の安全確保のために,手術内容によっては筋弛緩薬を用いて神経筋遮断による不動化を得る.神経筋遮断の程度はTOF比で評価されることが多く,正常患者においては有用だが,神経筋伝達が変化している病態での正確性は明らかでない.実際にTOF比の十分な回復を認めても,筋力の回復が不十分なため周術期に呼吸不全が生じたとする報告は多い.これに対し重症筋無力症モデルラットを用いて,TOF比の回復が筋力の十分な回復を示唆しない可能性を明らかにした.他の神経筋疾患においても研究を進めることで,新たな筋弛緩状態の評価指標や,周術期の安全な筋弛緩薬投与方法の解明につながると考える.
助教 Instructor
川口亮一 Ryouichi Kawaguchi
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:心臓血管外科手術と血液凝固(臨床),敗血症と臓器障害(基礎)
研究活動と展望:人工心肺を用いた心臓血管外科手術では血液凝固障害が問題となる.現在,Point-of-Careモニタを用いた血液凝固能評価により周術期輸血の適正化を目指した臨床研究を行っている.基礎研究においては,集中治療領域で重要な問題である敗血症とそれに伴う臓器障害について,ミトコンドリア機能障害に着目した研究を行っている.
教授 Professor
山蔭道明 Michiaki Yamakage, M.D., Ph. D.
所属 医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
医学研究科地域医療人間総合医学生体防御学侵襲制御医学
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:周術期の体温管理,麻酔薬の作用機序の解明,血液凝固系
研究活動と展望:吸入麻酔薬は吸入開始1分で意識を消失するに至る.吸入して血中に溶け込み,脳に達してその効力を発揮する.その作用力価は血中溶存濃度ではなく,分圧に比例するから驚きだ.一方,吸入麻酔薬は強力な気道平滑筋弛緩作用を持ち,喘息重積発作に有用である.この作用に興味を持ち,張力と細胞内Ca2+濃度の同時測定,さらにcAMPやIP3に代表されるセカンドメッセンジャーの測定を行い,その作用機序を解明してきた.パッチクランプ法を応用し,細胞内Ca2+濃度の調節に重要な電位依存性Ca2+チャネル活性も測定し,それに対する作用も明らかにした.これらの研究は,臨床的に麻酔薬を安全に使用する上で重要な研究であると考える.
准教授 Associate Professor
枝長充隆 Mitsutaka Edanaga, M.D., Ph. D.
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:臨床研究(周術期の血液凝固?血小板機能モニタリング,気道デバイスの臨床応用,医療安全を考慮した麻酔手技の検討)
研究活動と展望:体外循環下における心臓血管外科手術においては,止血目的での輸血に関する明確な指標が未だないのが現状である.われわれは,精密血液凝固機能装置を使用し,生体の凝固および抗凝固のバランスを考えた血液製剤の適正かつ有効利用,医療費の低減に向けて迅速で信頼度の高いモニタリングガイド下輸血療法確立を目指す.
准教授 Associate Professor
新山幸俊 Yukitoshi Niiyama
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:術後痛
研究活動と展望:現在,術後痛に対しては鎮痛効果の強いオピオイドがしばしば用いられるが,オピオイドにはさまざまな副作用があり,結果として手術からの回復の妨げとなっている.局所麻酔薬やそれ以外の薬剤,鎮痛法を組み合わせることで相乗的に痛みを抑え,副作用を少なくすることで鎮痛の質を上げる必要性がある,現在,いくつかの臨床研究を進行中である.
講師 Assistant Professor
岩崎創史 Soushi Iwasaki
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:緩和医療?脊髄刺激療法?麻酔と呼吸
研究活動と展望:今後日本の人口は減少に転じ,高齢者ががんでなくなる「多死の時代」が 予想されている.治療ではエビデンスに基づき診療が行われているが,緩和医療分野ではエビデンスの蓄積が相対的に少ない.身体症状は新規オピオイド等で症状緩和は十分にコントロールできるようになったが,いまだがん患者さんの苦痛の全てが取りきれているわけではない.私は呼吸法に着目し,患者のストレスコーピングの手段として取り入れることができないか研究をすすめている.
講師 Assistant Professor
平田直之 Naoyuki Hirata
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:周術期及び集中理療領域における循環不全の病態解明と治療戦略の研究
研究活動と展望:周術期心筋虚血再灌流障害に対して,麻酔薬及び亜硝酸塩による治療効果とその機序の研究を行ってきた.これらの病態には心筋ミトコンドリア活動が深く関わっておりミトコンドリアレベル,転写因子レベルにおいてその機序を解明し,学術論文等々で報告した.現在,不全心筋に対するデクスメデトミジンの心筋保護作用に関する研究,麻酔薬プロポフォールによる急性循環不全(プロポフォール注入症候群)に関する研究を大学院生と共に行なっている.
講師 Assistant Professor
時永泰行 Yasuyuki Tokinaga
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:麻酔科学 血管薬理学
研究活動と展望:血管は組織還流を調節するために収縮,弛緩作用を持つ.その収縮と弛緩反応は麻酔薬により影響を受ける.血管を内皮機能と平滑筋機能の両面から麻酔薬の作用および作用機序を検討し,麻酔薬の特性を生かした薬剤の選択から臨床に応用することを目指す.さらに,近年,血管内皮細胞の管腔側には内皮グリコカリックスと呼ばれる糖鎖の層の存在?重要性が明らかになり,麻酔薬の内皮グリコカリックスに及ぼす影響を内皮依存性弛緩反応,組織化学的検討から行っている.今後,内皮グリコカリックスの保護を考慮した麻酔管理は,内皮機能保持の観点から新しい周術期管理をもたらす可能性がある.
助教 Instructor
早瀬知 Tomo Hayase
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:吸入麻酔薬の脳内遺伝子発現に与える影響
研究活動と展望:吸入麻酔薬の作用の強さは個人差があまりないことが知られている.しかし術後の悪心嘔吐は女性において圧倒的に多い.この機序の一つとして,われわれはエストロゲン結合部位の遺伝子多型が術後悪心嘔吐の発生頻度に影響を与えることを発見したが,近年遺伝子発現解析技術の向上に伴い,吸入麻酔薬の曝露が脳内の遺伝子発現にどのような影響を与えるか網羅的に解析できるようになった.これらの研究を通じて麻酔薬の曝露による副作用の予防し,より安全な麻酔管理を提供することができると考えている.
助教 Instructor
高田幸昌 Yukimasa Takada
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:有機リン中毒,血管薬理学
研究活動と展望:有機リン系コリンエステラーゼ(OP-ChE)阻害薬か?関与したオウムサリン事件は誰もか?知るところて?あり,また服用による自殺者, 紛争地域て?の神経剤使用等か?後を絶たない現在,その治療法確立は重要な研究課題て?ある.OP-ChE 阻害薬中毒の死因には意識障害,けいれん重積,呼吸停止,等の中枢神経系機能失調か? 深く関与している.OP-ChE 阻害薬誘発性けいれんの性状と誘発促進因子の解明と,各種麻酔薬およひ?新規抗てんかん薬の治療的効果についての検証を中枢神経系組織て?行うことか?不可欠と考え,研究を行っている.
助教 Instructor
髙橋和伸 Kazunobu Takahashi
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:筋弛緩薬
研究活動と展望:手術中の安全確保のために,手術内容によっては筋弛緩薬を用いて神経筋遮断による不動化を得る.神経筋遮断の程度はTOF比で評価されることが多く,正常患者においては有用だが,神経筋伝達が変化している病態での正確性は明らかでない.実際にTOF比の十分な回復を認めても,筋力の回復が不十分なため周術期に呼吸不全が生じたとする報告は多い.これに対し重症筋無力症モデルラットを用いて,TOF比の回復が筋力の十分な回復を示唆しない可能性を明らかにした.他の神経筋疾患においても研究を進めることで,新たな筋弛緩状態の評価指標や,周術期の安全な筋弛緩薬投与方法の解明につながると考える.
助教 Instructor
川口亮一 Ryouichi Kawaguchi
所属:医学部医学科臨床医学部門 麻酔科学講座
SOM, (SOM), Department of Clinical Medical Science Dept. of Anesthesiology
研究テーマ:心臓血管外科手術と血液凝固(臨床),敗血症と臓器障害(基礎)
研究活動と展望:人工心肺を用いた心臓血管外科手術では血液凝固障害が問題となる.現在,Point-of-Careモニタを用いた血液凝固能評価により周術期輸血の適正化を目指した臨床研究を行っている.基礎研究においては,集中治療領域で重要な問題である敗血症とそれに伴う臓器障害について,ミトコンドリア機能障害に着目した研究を行っている.