教授挨拶

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教授 小船 雅義
当科では先端医療のみならず地域医療を維持するために幅広い血液疾患全般の外来および入院診療を行うよう努めています。ここ数年間で血液疾患患者さんは急増しています。高齢化社会で血液疾患の罹患率が増加したこと,検査法の進歩で早期診断が可能になったこと,治療法の進歩により難治性血液疾患が治療可能になったことなどが原因と考えられます。特に以前は治療が困難であった血液腫瘍性疾患(白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫)が遺伝子診断を含めた特殊検査で病状が詳細に把握できるようになり,個々の血液疾患に対して個別の治癒を目指した治療が可能となってきました。また,スパコンやAIの技術革新により薬剤開発技術が飛躍的な進歩をとげ,長時間効果が持続する薬剤および経口投与可能な分子標的薬が次々と医療現場に導入され,患者さんの通院回数の減少,病院内の滞在時間の短縮が実現され,患者さんが自宅での日常を過ごしやすい治療法が次第に増えてきています。
また,地域医療ではご高齢の患者さんが多い地域もあり,難治性貧血性疾患の管理法,稀な血栓症?凝固異常症の診断?治療を行う他,患者さんの様々な全身疾患を管理できるよう,他の診療科さまと連携をとりながら,スタッフ一同,日々研鑽を積んでいます。
2024年度夏に,血液内科病棟は改築され新しくなりました。一般病床での入院生活も快適になる他,クリーンルーム区画も設置され,造血幹細胞移植を受けながらも区画内ではある程度自由な行動ができるようになります。私たちは,患者様一人一人に適した個別ケアを提供し,その方の生活の質を向上させるために全力を尽くして参ります。 

沿革

当教室は,初代教授である中川諭教授により札幌医科大学癌研究所内科学部門として創設された。その後,1964年に「癌研内科」として独立した診療科となり,1965年には漆崎一朗先生(故人)が第二代教授に就任した。

1988年8月には新津洋司郎先生が第三代教授(1988年-2008年)に就任し,その後,2008年9月には加藤淳二先生が第四代教授に就任した。2013年からは「腫瘍?血液内科学講座」,2016年度以降は「腫瘍内科学講座」と「血液内科学」が再編され,独立した。さらに2020年4月には小船雅義教授が初代血液内科学教授に就任している。

教室の出身者には,血液学の基礎や臨床に貢献した著名な方々が含まれている。山田正二教授(北海道教育大学札幌分校家政科),高後裕教授(旭川医科大学内科学第三講座を定年退職後,国際医療福祉大学教授),渡邉直樹名誉教授(札幌医科大学臨床検査医学講座を定年退職),佐藤昇志名誉教授(札幌医科大学第一病理学講座を定年退職)らがいる。

現在,「腫瘍内科学講座」と「血液内科学」は,1つの同門会に所属し,約300名の同門会員が基礎研究,臨床試験,新しい治療法の開発など様々な分野で医学の発展に貢献している。