理事長?学長室から2025

No.38令和7年5月9日発行

はじめに

 5月に入っても朝晩は冷んやりした日が続いていますが、こういうのを「リラ冷え」って言うんでしょうか?
 「リラ冷え」という言葉は、渡辺淳一の小説『リラ冷えの街』によって世の中に広まったとされています。渡辺淳一先生は、本学医学部1958年卒で、整形外科学講座の講師まで務めました。晩年は『失楽園』などエロスの世界を描きましたが、初期の作品には、直木賞受賞作の『光と影』をはじめ、『死化粧』『白夜』など医学?医療や北海道を題材とした名作も多いので、ぜひ読んでみてくださいね。
 「理事長?学長室から2025」No.38をお届けします。
 

1.中嶋優子先生を招いて創基80周年記念国際医療セミナーを開催しました

 5月7日、本学臨床教育研究棟講堂において、国境なき医師団日本会長の中嶋優子先生(本学医学部2001年卒)をお招きして国際医療セミナー「札幌医大が育てた国境なき医師団日本会長の話!」を開催しました。会場には「国際医療」の授業として聴講した医学部3,4年生のほか、本学の教職員など263名が詰めかけました(写真1-3)。
 中嶋先生の、本学卒業から現在に至る屈託なき前向きな生き方、そして人々の命を救うことへのひた向きな姿勢と情熱から、聴講者は多くのことを学び取ったことと思います。パレスチナ?ガザ地区の凄惨な状況の中で、中嶋先生と触れ合う子供たちの笑顔には心から感動しました。
 講演の中では、本学の建学の精神「進取の精神と自由闊達な気風」と中嶋先生の生き方の共通点や、「札幌医科大学Vision for the Next Decade」と国境なき医師団のコンセプトとの共通点も示していただきました。
 本セミナーは、HTBと本学の包括連携協定事業の一環として、また本学創基80周年を記念する行事として開催しました。司会をHTBテレビ「イチモニ!」でおなじみの福永裕梨アナウンサーに務めていただき、またHTBマスコットキャラクターのonちゃんも登場して、セミナーを盛り上げていただきました(写真4、5)。 
 本セミナーの内容は、5月31日(土)8:00からHTB公式YouTubeチャンネルで配信され、同日のイチモニ!番組内でも紹介される予定ですので、ぜひご覧ください。
 

2.令和6年度重点研究支援事業として3つの研究課題に対して助成を決定しました

 本事業は、若手研究者に研究費助成を行うことを目的として、ステミラック注の実施許諾料収入を原資に令和2年度から実施されています。
 今回、令和6年度の研究支援事業として、以下の3名の先生の研究課題が採択されました(研究助成期間は令和7年~8年度の2年間となります)。
 ?山本 聡先生(医学部感染学講座微生物学分野講師):ユニバーサルウイルス形態制御学の創生に向けた基盤研究
 ?久保智洋先生(医学部内科学講座腫瘍内科学分野助教):がん腫横断的なSMARCA4抑制によるB7ファミリー発現調節機構の解明
 ?我妻康平先生(医学部内科学講座消化器内科学分野講師):免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象に影響を与える口腔内および腸内細菌叢の経時的変化の前向き観察研究
 4月30日に研究代表者に目録贈呈式を行いました(写真6)。いずれも有望な研究プロジェクトであり、2年後の研究成果報告を楽しみにしています。
 

3.医学?生理学クイズ日本大会2025で医学部2年生チームが3位に入賞しました

  2025年3月23日に大阪府高槻市で開催された医学?生理学クイズ日本大会2025(Physiology Quiz in Japan: PQJ2025)に、本学医学部2年生のグループ(井上結翔さん、小島一朗さん、島津大和さん)が参加しました。
 本大会は、国内外の医学生が一堂に会し、生理学や解剖学?薬理学など基礎医学の知識をクイズ形式で競うものです。今回は、海外からの4チーム(スロベニア、シンガポール、インドネシアx2)と国内4チームの計8チームが参加しました。
 本学チームは健闘し、スロベニア、シンガポールに次ぐ3位に入賞しました(国内チームの中では最上位)。4月10日に学長室に入賞報告に来ていただきました(写真7)。
 来年は、ぜひ優勝を勝ち取っていただくことを期待しています。

4.保健医療学部1年生の学生さんのインタビューを受けました

 4月10日、毎年恒例となっている、保健医療学部の1年生によるインタビューを受けました。このインタビューは、「保健医療総論1」の学内体験プログラム「インタビュー演習」として行われるものです。私を担当していただいたのは、看護学科:阿部碧菜さん、北川菜日さん、土井みつきさん、山北剣之介さん、理学療法学科:只野心珠さん、作業療法学科:北方美羽さんの6名からなる第2班の皆さんでした(写真8)。
 「医師をめざしたきっかけは?」「学生時代はどんな学生だったか?」など、ストレートな質問を若者らしく爽やかにぶつけていただき、最後は雑談など交え和気あいあいとした雰囲気の中終えました(写真9)。
 翌日には、発表会がありましたが、私の思っていることを、私以上に的確に表現していただき、とても感心しました。非常に良く出来ていたので、学生さんたちのご了承をいただき、プレゼンスライドの抜粋を以下に紹介させていただきます(図1-5)。
 第2班以外の学生さんたちとも、機会があればお話しできればと思っていますので、気軽に学長室をご訪問くださいね。
 

おわりに

 昨年、コロナ禍を経て5年ぶりに札幌医科大学大学祭が開催されましたが、今年も6月5日~8日を会期として第75回大学祭が開催されます。昨年は「祭起」がテーマでしたが、今年は「祭輪」です(図6)。
 大学をとりまく地域の人々との「輪」、開学以来75年に及ぶ伝統の「輪」を示しているとのことです。実行委員長の五十嵐晴さんをはじめとする実行委員会の皆さんにより鋭意準備が進められています。昨年に続き、大いに盛り上がり、充実した内容の大学祭になることを願っています。